第4章 アレにときめく兵長
お掃除スタイルで凄む兵長はとても機嫌が悪かった。
抱えていた書類を落としそうになりながら問えば、こんな返事が返って来る。
『ど…どうされたんですか』
「窓だ」
『へ?』
「汚れが落ちねぇんだよ、窓の…‼︎」
ゴゴゴゴ的な効果音を放ちながら雑巾を握り締めるお掃除兵長。
怖い。
眉間の皺がこれ以上ないくらい寄っている。今ならスタンドすら出現させられそうだ。
『窓…ですか、はは…そりゃ大変』
「手伝え」
『…はい』
兵長に腕を取られて部屋に引き摺り込まれる。
普通ならドキッとするシチュエーションなのに微塵もときめかない。だって既に雑巾を鼻先に突き付けられている。
「命令だ…その汚れをどうにかしろ」
『仰せの通りに』
私は溜息混じりにトンッと拳を左胸に当てた。