第25章 それでもその日はやって来る
『分隊長……っよくぞ、ご無事で…‼︎』
涙ながらに言う私を見るなり分隊長は馬から飛び降りてハグをした。
それも、超濃厚なやつ。
「姫ぇ〜!会いたかったよう!」
『いや、え……ちょ、苦し…助けて、副隊…ちょ』
はいはい。
やめてあげましょうね。
私のSOSに即刻助け舟を出してくれたモブリット副隊長。物腰柔らかな彼に制止されて分隊長は渋々離れていく。
「おい」
その時だった。
隊列の中から兵長の声が聞こえたのだ。
『……リ、ヴァイ…兵長』
その名を呼んだ瞬間。
眼前に居たはずの分隊長は見事に蹴り飛ばされ、私の視界は兵長の姿で埋め尽くされた。