第25章 それでもその日はやって来る
それは真新しいスケッチブックだった。
上等な造りの表紙は深緑色で出来ていて、右端に私のイニシャルと自由の翼が刻印してある。
私はジャンから受け取ったそれを繁々と見つめていた。
「俺……いや、俺達、先生に出会えて本当に良かった」
すごく幸せだったよ。
そんな言葉を口にしてジャンは笑う。
「巨人の事なんて頭から吹き飛んだぜ」
アンタといるとな。
照れ臭そうに言うのはコニーだ。
「また異国のお話聞かせてね」
僕達、必ず帰って来るからさ。
アルミンの笑顔にまた涙が込み上げる。
「泣くなって!先生よ!」
『きゃ……っ』
ライナーは列から一歩踏み出して私を抱き締めてくれた。もちろん兵長が盛大な舌打ちをしたけどそれは置いといて。
「本当にありがとう。先生にはいくら感謝しても足りないよ」
ライナーの腕に収まる私の頬に、今度はベルトルトがキスをする。
トリガーに手を掛けそうになった兵長を、ペトラさんが宥め倒したのは言うまでもない。