第24章 懇親会と云う名の
Scene 2:「アニ」
ライナーとバトンタッチしたベルトルトは、憲兵団兵舎裏の東屋にてアニを待っていた。
こちらはアルミンに頼んで……“熟女モノの春画”と引き換えに、呼び出してもらったのだ。
「……何か用?」
待ち侘びた女子憲兵の登場にビクリと跳ねるベルトルト。
ベンチの隣にアニが腰掛けたのを確認して、彼は言葉を紡ぎ出した。
「アニ」
アニは名を呼ばれて問いたげな視線だけを返す。色素の薄い瞳はまるでガラス玉のようだ。
「さっきの……ほら、野球試合のこと、なんだけどさ」
わざとゆっくり投げてくれたの?
そう付け足してベルトルトはふにゃりと笑った。
対するアニは全くの無表情。
しかし、その白い頬が桃色に染まっているのを私は見逃さなかった。