第3章 リヴァイ(兵長で悶える)班
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ここは兵士が座学を学ぶ講義室。
昼下がりの眠気まなこを擦りながらエレンは“生態学”についてのレポートを仕上げていた。
「くっそ…何も思い浮かばない…」
教官から指定された文字数を半分も残してエレンの筆は止まっている。
他の新兵達はあっという間に仕上げて出て行ってしまった。講義室に残っているのはエレンだけだ。
コン、コン
突然、木を打つノック音がして顔を上げる。
すると右前方の扉にもたれかかっている人影が見えた。
「…リヴァイ、兵長?」
兵団の上層部は特別な理由がない限り講義室に顔を出さないため、エレンは訝しげに首を傾げる。
「ようクソガキ…首尾はどうだ」
リヴァイはほぼ白紙のレポート用紙を取り上げて言った。
厳しい上官に不出来な所を見られてしまったエレンはアタフタと言葉を紡ぐ。
「え、えっと、あのそれが…まだ全然で…すいません!」
「俺が教えてやろうか」
「……へ⁉︎」
「勘違いするなよ。お前が揃わないと特別班の訓練が」
「お願いしますっ!!!」
食い気味で言うエレンにリヴァイは小さく息を吐くと胸ポケットからある物を取り出した。