第21章 兵長のターン【R18】
その後、暫く続いた二人の睨み合い。
時間にして数分だろうか。
何方からとも無く視線を逸らして修羅場は終戦し、ジャンは「またね、先生」と笑って去って行った。
「おい……ちゃんと掴まってろ」
かくして兵長と帰宅の途に着くことになった私。
現在、兵長に押し切られて二人で一頭の馬に乗っている。
私の愛馬は空馬となって隣を並走中だ。
『……』
促されて、というか強引に引っ張られて兵長の腰に腕を回す。
彼の部屋で抱き締められたあの日以来まともな会話をしていない。
そのせいだろうか。
私達はまるで話し方を忘れてしまったかのように押し黙ったままだった。