第3章 リヴァイ(兵長で悶える)班
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とある日の夕方。
夕暮れ差し込む書斎で兵長は書類整理をしていた。
「…はぁ」
日頃の激務のせいだろうか。
一見少年のようにも見える瞳には疲労の色が浮かんでいる。
「兵長、ちょっとお時間宜しいですか?」
そこへやって来たのは兵士エルド。
彼はその手に小さな小箱を持っていた。
「何か用か」
己の疲弊した姿を部下には見せまいとリヴァイは普段通りの表情を作ってみせる。
戦闘力や指揮官としての秀でた才覚は勿論、そんな所もまた兵長の魅力だ。
「兵長…あの、これ」
エルドは持っていた小箱を差し出した。
一瞬、キョトンとして兵長は口を開く。
「…何だ、これは」
「俺達班員一同からの贈り物です」
「は?」
「たまにはお体ご自愛下さい。兵長は働き過ぎですよ」
そう言葉を残して立ち去るエルド。
首を傾げながら箱を開けた兵長は目を丸くする。
そこには市街で催されている観劇のチケットが二枚収まっていたのだ。
「あいつら…チッ、下らねぇ気回しやがって」
兵長は得意の舌打ちで悪態をついた。
しかしそれが照れ隠しであることは誰もが分かっている。
「…さて、誰を誘ってやろうかな」
ふと目元を緩めた兵長はそう呟いて、少しだけ笑った。
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