第14章 オバケなんて嘘さ【R18】
調査兵団兵舎の裏側に広がる森にその教会はあった。
生い茂る樹々を掻き分けていくと、それは突然現れる。
ぽっかりと開けた空間の中心に石造りの古びた教会が佇んでいるのだ。
兵団に古くから伝わる怪談話。
それは、何処にでもあるような都市伝説で。
真夜中になると祭壇に飾られた聖杯が血で満たされると云うのだ。
しかも、言い伝えはそれだけではない。
真の勇気を持った者がそれを飲むと、杯を満たしていた筈の血液が芳醇な香り漂うワインに変わるのだとか。
何とも良く出来た噂話だ。
私の生まれ故郷にも似たような言い伝えがあった気がする。
しかし、それは思春期男子のハートを掴むのには充分だったようで。
「(俺はやるぜ…見ててくれクリスタ)」
「(見てて下さい兵長。貴方のように勇気ある兵士だと云うことを証明してみせます)」
「(…俺の秘められた力を解放する時が来たようだな)」
「(先生の前でこれ以上無様な姿は見せられねぇ……何が何でもやってやる)」
「(どんな生物の血なんだろう)」
「(帰りたい帰りたい帰りry)」
それぞれの想いを胸に真夜中の教会へと乗り込むのであった。