第14章 オバケなんて嘘さ【R18】
私達は一同連なって暗い森を歩く。
集団の先頭にいるのはもちろんライナーだ。エレンとコニーが二番手を歩いている。
私はジャンと共に三列中央にいた。
白いワイシャツに七分丈のスラックス姿で歩くジャン。前後ろ逆に羽織っていた筈の兵団マントは私の肩に掛かっている。
「俺、暑がりだから」
そんな台詞と共にジャンが羽織らせてくれたのだ。ちょっとキュンとした。
ちなみに、最後方を行くのはベルトルトと毛布ダルマことアルミン。
ダルミンはベルトルトの兵団マントに潜り込んで歩いている。まるで二人羽織だ。
彼らの身長差が奇跡を可能にしていた。ベルトルトめっちゃ歩き辛そうだけど。
「……これは兵団に古くから伝わる話なんだがな」
ライナーは重苦しい口調で切り出すと、とある教会にまつわる噂を話し始める。
辺りに響くのは数人分の足音と、草木を揺らす風の唸り声。
唯一の灯りは各々が持つランプ。
それから、夜空を照らす蒼白い月だけであった。