第13章 ビビるジャン
新兵達が一頻り騒ぎ終えたところで、ライナーは高らかに宣言した。
「お前ら…お楽しみはこれからだぜ」
どうやら今日の納涼会はライナーによるサプライズイベントらしい。
今から何が起こるのか、はたまた何をするのか。ライナー以外の新兵達に緊張の色が浮かぶ。
「お、おいおい……お前、何してるんだよ…⁉︎」
真っ青な顔で震えるコニー。
その視線はおもむろに兵団マントを羽織り出したライナーに向けられている。
これはもう、間違いなく怪談話からの肝試しコースだろう。
世界は違えど王道の流れは健在らしい。
「全員マントを羽織れ。初夏の夜は冷えるからな」
さあ、肝試し大会の始まりだぜ。
予想通りの言葉をライナーが放つと談話室に激震が走った。
「嫌だ!」
「絶対無理!」
コニーとエレンは口々にそんな事を言いつつも、何やかんやで出立の準備をしている。
所謂怖いもの見たさっていう奴だろう。
「先生、シャツ一枚じゃ寒いんじゃない?」
私の肩に手を置きながら笑顔を見せるのはベルトルトだ。
女子力高めなその発言に思わず頬が熱くなる。此方も既に出立準備済み。
「僕怖い僕行かない僕嫌だ僕オバケ嫌い僕(ry」
アルミンは頭から爪先までブランケットに包まって念仏を唱えている。
そんなアルミンに喝を入れたのはジャンだった。