第13章 ビビるジャン
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『……っジャン!駄目だってば!』
自分の声のボリュームに驚いて瞼を開ける。すると、先程まで唇を合わせていた筈のジャンは姿を消していた。
代わりに映し出されたのは、クリクリの坊主頭。
どうやら私は夢を見ていたらしい。
『コニー……?』
気怠い身体を起こしながらソファに座り直すと、談話室には既に他の新兵達も集まっていた。
その中にはエレンの姿も見える。
皆一様に驚いた顔でこちらを見ているが…一体どうしたと云うのだろう。
『皆、どうs』
そこまで問いかけて、私の言葉はコニーの大声にかき消される。
「おいジャン!お前、抜け駆けしやがったな⁉︎」
「どんだけ手が早ぇんだよ!」
「お前、マジでヤバいからな⁉︎ 兵長に知れたら殺されるからな⁉︎ 間違いなく‼︎」
間髪入れずに聞こえて来たのはライナーとエレンの声だ。皆随分と興奮しているらしい。
「うるせーな……いちいち騒ぐなよ。何もしてねぇって」
聞き覚えのある声に思わず心臓が跳ねた。ジャンは騒ぎ立てる新兵達の中心で頬杖を付いて座っている。
「嘘吐け!じゃあ何で先生の寝言にお前の名前が出て来るんだよ⁉︎」
「この……っチャラ男が!」
「ジャンのバーカ!刈り上げ!馬面!」