第2章 調査兵団宿舎にて【R18】
「おい女、痛むか?」
鋭い三白眼の持ち主…リヴァイ兵長はその凍てついた瞳で私を見下ろしている。
容態を気遣う言葉を掛けられているのに全然そんな気がしない。むしろその視線で斬り殺されそうだ。
『は…はい、いや…だいぶ良いです。ありがとうございます』
医療班の迅速な手当てにより私は一命を取り留めていた。
傷付いた腕には丁寧に包帯が巻かれ、有難い事にホットティーまで用意されている。
「では今一度問おう。貴様は何者だ」
兵長にそう問われると不思議と背筋が伸びた。
これまでの彼らの口振りからして、何処かしらの軍隊に所属する兵士なのは間違いない。
さすが軍の上官だ…先程のオルオとは威厳が違う。
『わ、私は…私の名はです。日本で警察官をしています…いえ、していました』
私は何を言っていいやら分からず取り敢えずそんな事を口にした。
自分でも可笑しな自己紹介だとは思うが…状況的にこう言うしかなかったのだ。
「おい…ケーサツカンとは何だ」
その返答に私は愕然とする。
警察官という恐らく全世界に共通するであろう単語を知らないなんて…ある程度文明が発達した国ではあり得ないことだ。
しかし、これでハッキリした。
やっぱり此処は私のいた世界とは別の場所らしい。