第11章 師団長と酔っ払い2
「昨日はあんなに甘えてきたくせに。」
そのナイルの言葉が
昨日の記憶を一気に湧き上がらせる。
嫌でも熱が顔に集まる。
「向こう行って…」
精一杯絞り出した声で
ナイルから離れようとする。
洗い物の途中なため、
声でしか抵抗できない。
「……あーなるほど。
リオ…
昨日のこと覚えてんだな?」
ナイルの表情が
顔を見なくてもわかる。
「耳まで真っ赤。」
「うるっさいな。」
「昨日俺もリオに言われたけど。」
「え、そんなこと言った?」
「細かいことまでは覚えてねぇか。」
「ざっくりとしか覚えてない。」
とりあえず
その場から意識を逸らすために、
目の前にある洗い物を続けた。