第10章 師団長と酔っ払い
「……怒った?」
「え?怒ってはねぇよ。」
そういう返答をされることは
普段ならあり得ないため、
一瞬返事に戸惑った。
一方、リオの表情は
明るくならない。
むしろ瞳が潤み、
不安さが増しているようだった。
「普段もっとダメなことしてんのに、
これくらいで急に心配すんな。」
「本当に怒ってない…?」
酔っ払うと人の表情を読み取れなくなるのか、
ただ自分の不安さに素直になるのか。
「怒ってねぇよ。」
「よかった。」
心配そうに見つめてくるリオの頭をそっと撫でると、
安心したのか表情から力が抜け、
また柔らかいものへとかわった。
普段のリオでは
こんなに表情が
二転三転することなど考えられない。