第1章 師団長とテレビ
「…っ!!!
こら!痛ぇだろうが!」
予想してなかった刺激にびっくりしたらしい。
ビクッと身体をはねさせたと思うと
ペシっとおでこを叩かれた。
ほぅ。
そんなに痛いのか。
私は、別に痛くもない
おでこをさすりながら、
そんなことを考えていた。
「リオ、それダメなやつだからな。」
「えーー…はーい。」
呆れたような溜め息を吐きながら
ナイルの視線がテレビに戻った。
一応怒られたから、
少しおとなしくしてみる。
…もういいかな?
何分かおとなしくしたし。
とりあえず私はその髭が
引っ張りたい。
だって楽しい。
ただそれだけ。
ナイルがテレビに集中しているのを確認して、
ナイルの死角になっているであろう角度から
もう一度そっと手を伸ばす。
また、ビクッ!とナイルの身体がはねる。
「いや、だから痛ぇって。」
さっきよりイラっとした声で
顎を摩りながら睨まれた。