第17章 掌の上
「あ、ナイルさん。
さっき秘密にしてたこと
教えてあげます。」
ナイルさんの
眉がピクッと反応したのが
わかった。
「髭。だそうですよ。」
ナイルさんは
特に表情を変えることはなかった。
想定の範囲内だったのか、
想定外の答えで
思考が止まったのかはわからなかった。
「さっきから2人だけでなんかずるい。」
会話に入れないリオさんが
拗ねたように軽く頬を膨らませた。
こんな表情も
僕は初めて見た。
「リオさん、
また明日研究室で!」
「うん、気を付けて帰ってね。」
「もう来るなよ。」
ナイルさんの
脇腹にリオさんの
肘が入った。
そんなリオさんと
ナイルさんに
見送られながら
2人の家を後にした。