第17章 掌の上
「俺も知りてぇよ。」
溜め息にも近い答えだった。
「僕聞いたことありますよ。」
「え、何て言ってた?」
不思議な人だ。
明らかに僕は敵なはずなのに。
あれだけ張り巡らせていた
警戒心が
一瞬にして解けたのがわかった。
「秘密です。」
自分がされたらムカつくだろうな
と思いながら
満面の笑みでそう返した。
すると
今日何度目かもわからない、
既に聞き慣れてしまった舌打ちが聞こえた。
「ナイルさんは
リオさんの
どこが好きなんですか?」
こんなことを聞いて
何になるのだろう。
納得がいく答えを
貰えれば、
素直にリオさんを
諦められるのだろうか。
「あーどこかなぁ。」
ナイルさんは
目を閉じて
眉間に皺を寄せて考え始めた。
そんなにも
スッと出てこないものなのか。
身を引く言い訳くらい
くれたっていいだろうに。