第17章 掌の上
話題でだけ聞いていた
その"彼"との最初の顔合わせは、
思っていた以上に軽かった。
そして、
思っていた以上に
年上の人だった。
ここまで、
僕の正反対を行かなくてもいいだろう、と
少しショックを受けている自分がいた。
だって、
僕にはこんな貫禄もないし
髭もない。
この人が
リオさんを
独り占めしてるのかと
思うと少しムカついた。
だから、
素直に笑顔を見せることは
できなかった。
一応
初対面ではあったから、
ちゃんと笑顔で接しておいたけど。
そして、
僕がここにいることで、
あまり空気が良くないのは
ちゃんと分かっていた。
主にナイルさんがイライラしていた。
まぁ当たり前だけれど。
挑発していたし。
中身まですごく
大人ってわけではないんだな、
と思い、安心している自分がいた。
リオさんは
僕に実験について
ちゃんと教えてくれながらも、
向かいに座る
ナイルさんの様子を
チラチラと伺っていた。
少し、
この場にいるのが辛くなった。