第17章 掌の上
「リオさん…怒ってましたね。」
先程の慌てたような表情は
どこへいったのか、
楽しそうな笑顔でナイルに話しかける。
ナイルは頬杖をついたまま、
アルミンを見ることはしない。
「さすがに、あれはちょっと…。
もうちょっと他になかったんですか?」
ナイルは、
見えない何かが背中にグサグサと
刺さるのを感じていた。
「それが本性か。」
「それってどれです?
僕はずっと素直ですよ。」
「お前まじで帰れ。」
やっとアルミンの
顔を見て言えたのは
そんな言葉だった。
そこに、
先程までリオに向けられていた
天使のような
微笑みは存在していなかった。