第17章 掌の上
「リオ。」
相変わらずの近い距離にも関わらず、
何も警戒をしていない
リオに声をかける。
その声に反応して、
リオはアルミンから身体を離し、
こちらを向いた。
目だけで、何?
と問いかけられる。
「……ヤりてぇ。」
頬杖を付いたまま
ぶっきらぼうに投げ捨てられた
その言葉に、
当然のように
不自然な沈黙が流れる。
しばらくすると、
リオの口角があがったものの、
目がキレているのを
痛いほど感じた。
「あ、あの、僕帰りますっ!!」
アルミンは
少し顔を赤面させ、
バタバタ分厚い本を雑に閉じながら
立ち上がった。
これでいい。
リオには、
あとで土下座でもなんでもして謝ろう。
とにかく、
今ここにアルミンがいる。
という状況を打破したかった。
しかし、
それを止めたのは
他でもないリオだった。
「アルミン、気にしないで。
もうナイルのことは空気だと思ってくれて
構わないから。」
リオは
立ち上がるアルミンの
手首を掴み、
再び座るように促した。
アルミンはリオの
本気の目に逆らえず、
戸惑いながら座り直した。