第17章 掌の上
「っ、ナイルっ、」
「ん?」
今日はどうもナイルが優勢なようだ。
ナイルの
余裕な表情に少し悔しくなった。
「…ありがと。」
「どうした。
素直だな。」
「うるさい。」
首に回している手で
ナイルの襟足を少し引っ張ってみると
自然とナイルの頭が後ろへ傾いた。
と思うと、
グイッと後頭部を押さえ付けられ、
逆に私の身体は前に傾いた。
再び
ナイルに呼吸路を塞がれる。
しばらくしてやっと解放されたかと思うと、
少し眉間に皺を寄せた
ナイルの表情があった。
「相変わらず手癖が悪ぃな。」
「ナイルにだけだもん。」
「リオのワガママなら
いくらでも聞いてやるよ。」
ナイルが私に甘いのはわかっていたけれど、
いざそう言われると
心臓が跳ね、
つい言葉に詰まってしまった。
「だから俺のワガママにも付き合えよな?」
ニヤッと口角をあげた
ナイルの顔が
何だかムカついたけれど、
それも許してしまう。
結局私も彼に甘いのか。
「少しだけね。」
減らず口は
わずかばかりの抵抗。
しかし、
どう頑張っても
今日の主導権は
ナイルが握っているような気がする。
この日はおとなしく、
ナイルに身を任せた。