第7章 ツンデレが好きだってちゃんと言えよ……
頬を高揚させ、目に涙を潤ませて肩で息をするカインを、ハンスはぎゅ…っと抱きしめた。
「すまない……でも今だけは許して欲しい…」
背中越しに聞こえるハンスの低く切ない声が、カインの身体に染み渡る。
カインは何も言うことが出来ず、暫くの間ハンスの腕の中に居た……ー
……………………
ハンスは馬を走らせ、城への道を急いでいた。
カインはまだ先程の余韻が抜けずに、背中に感じるハンスを意識していた。
(……くそっ…なんでこんなに心臓が煩いんだ…静まれ!静まれよ、俺の心臓っ!)
カインが、そう思えば思う程、胸の高鳴りは収まるどころか、後ろのハンスに聞こえてしまうのではないかと思うくらい、煩く鳴っている。