第3章 【妖怪町】天狗様
「で、僕が手伝い係として呼ばれたのですか?」
「うむ。」
と天狗様は頷いた。
「手伝い係って基本的には何をすれば良いのでしょうか?」
僕はなるべく礼儀正しく、そして正しい敬語を使うようにして喋った。
「リューキよ。ここへ来る前妖怪たちを見たろう?実に愉快そうに笑っていたりしてたと思う。だがな、なかには悩みがあったりする妖怪もいるんだ。」
確かにここへ来る前に見た妖怪たちは全員楽しそうに町を歩いていた。
一人も暗い顔してる妖怪はいなかった。ということは家や人気のないとこにいるんだろう。
「そのような妖怪たちが笑顔になれるよう、手伝ってほしい。どうも我が行くと皆怯えるのでな。」
と天狗様はまた大きな口を開けて笑った。天狗は怖いイメージが強かったけど、そうでもなくてとても他人思いなのがわかった。
「分かりました!僕が出来ることなら、最善を、尽くします!」
はりきって言った。
だが、天狗様は真剣な顔つきになった。
「...呼んどいて何だが、ほんとに出来るのだな?中途半端にやられて妖怪が暴走したら処理をするのはこちらだ。」
「多分出来ます!!」
すると天狗様は、
「多分、じゃ困るのだ!」
と声を荒げた。一瞬たじろいだが僕はもう覚悟は出来ている。今じゃもう手伝い係をやり遂げるぞ、とも思っている。
だから僕も口が勝手に開いて、
「 だってまだ何もやってないから!!何もやってないのに絶対はないです!」
と言った。天狗様は目を見開いていた。そして今までのやり取りをただ眺めてるだけだった朽葉も慌てて、
「まことに申し訳ありません!ご無礼なことを申し上げてしまって!」
と頭を下げた。
しかし、天狗様は怒ってはいなかった。それどころか驚いた顔したかと思えばぷはっと笑いだした。
「ハッハッハッ!肝が据わっておる!真に良いことだな。リューキのような者は初めて見る。
皆、我を、怖がって謙虚にするから...我はどこか退屈してたのかもしれないな。」
その答えに朽葉は驚いているような顔をしている。
「良い、良い!気に入ったぞ。是非、手伝い係をやってくれ。だが、やはり最善の注意をしてくれ。」
天狗様がそう告げる。と同時に天狗様に、認められたんだと実感した。こんな機会、もう二度とないだろう。
「はい!ありがとうございます!!」