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妖怪町.手伝い係

第3章 【妖怪町】天狗様


「「失礼します。」」

僕と朽葉は揃って言う。
天狗様を見ると、本で見た通り赤い顔で鼻が長くて羽も生えている。
その天狗様が大きい椅子に深々と足組をして座っている。

「ほう...これが...。牡丹、もう下がってよいぞ。」
「分かりました。」

恐らく牡丹というのは、このろくろ首のことなんだろう。
牡丹は天狗様と僕たちに礼をすると部屋から出ていった。

「えー、今回は朽葉、お疲れ。」
「とんでもありません!」

といつものおじいちゃんみたいな口調ではなくちゃんとした敬語になっている朽葉を見て僕もしっかりしなきゃなと改めて思った。


「そして、お主が人間の者じゃな。名は何という?」
「あっ!長春隆希です!」

多少ビクビクしながらだがちゃんと言えた。鼻血も出ていない。
だが、僕の自己紹介は朽葉がやると聞いたから一瞬ものすごく焦った。

「そうか。リューキ、だな。人間はすごい、技術を持っていると聞いた。」
「はあ...。」
「しかし、ここ妖怪町は忙しいやつや不器用なやつが多くてな。手伝い係にもならん。」

と天狗様は、ハッハッハッと大きい口を開けて笑った。天狗様も笑うんだと少し安心した。
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