第3章 【妖怪町】天狗様
城のなかはかなり広くて、どこに行けば天狗様のいるところへ着くのかわからない。
それは、朽葉も同じようだった。
辺りをキョロキョロ見回しているとコツコツと音がした。
「リューキ...ワシの後ろにいるのじゃ。」
と小さな声で言ってきた。僕は朽葉の後ろに隠れた。
そして、音の鳴ったほうを見る。
すると、女の人がやってきた。着物を着ていてきっとさっきのコツコツという音は、ゲタの音だったのだろう。
「あなた方が天狗様にご命令された...どうぞ、こちらへ。」
女の人は静かに言うと案内してくれた。
「あの人も妖怪?」
聞こえないくらいの声で朽葉に聞く。
「当たり前じゃ。あの人は多分、ろくろ首じゃな。」
「ろくろ首...あの有名な...!でも見ただけで分かるもんなんだ...。」
「何年ここに住んでると思っとるんじゃ。」
「まあ、そうだけど...」
そうこうしているうちにもう天狗様の部屋の目の前だ。さすが、他のドアより豪華な飾り付けだ。
「ここです...。天狗様、例の方たちを、お連れしました。」
ろくろ首がドアの前に立ち止まって言うと、ドアの向こうから
「ああ、例の。よい、ドアを開けよ。」
と天狗様の声が聞こえた。低めの声で、ちょっと怖い。
すると、ドアが開いた。僕たちはとうとうあの、天狗様の部屋に入る。