第13章 そうじゃない
面倒なのに声かけちゃったなぁと思ってるんだろうな。
でもどうせだから聞いてもらおう。
「僕のこと嫌いになっていいよ…ってどういう意味だと思う?」
私がそう言うと北城くんは前を見てうーんと考える。
「自分に置き換えて考えてみればいいんじゃねーの?自分がそういうこと言うとしたらどんな時だよ?」
私もうーんと考える。
「わたしが指名手配中の逃亡犯で…それを隠して付き合ってたけど、それがバレて…今まで騙しててゴメン…みたいな?」
「…すげー発想だなオマエ。でもまあそういうことなんじゃねーの…って違うか」
「……」
私はとりあえずジュースを一口飲む。
「…そういうことなんだ」
私は半分独り言みたいにつぶやく。
「いや、違うだろ…」
北城くんがちょっと心配そうに私の顔を見た。