第13章 そうじゃない
駅前でぶらぶらする。ひとりで。
よし、ゲーセン行こう。ひとりで。
私は格闘ゲームの台に座る。
家にも同じソフトがあるけど、やっぱこのレバーとボタンで技を出すとスッキリする。
初めてやった時は全然出来なかったのがなんだか懐かしいな。
「受験生がこんなとこで遊んでていいのか?」
突然、後ろから声をかけられて振り向く。
「あっ、北城くん」
私はぼんやりと北城くんの顔を見る。
「ちょっオマエ…画面…!」
「あ!わわわっ!」
画面にはYOU LOSEの文字が…。
「オマエ相変わらずヘタクソだなぁ…」
北城くんが笑う。
「突然声かけるからだよ…。めちゃめちゃ上手くなったのに…」
私は涙目になる。
「えっ?おい…泣くようなことじゃねーだろうが。…ジュースおごってやるから…泣くな」
「ありがとう…ぐずぐず」
泣くのをガマンすると鼻水が出てくる。
「なんなんだよ…。俺のせいか?勘弁してくれよ…」
そう言いつつ北城くんは私にジュースを買ってくれた。
「またケンカしてんのか?彼氏と」
北城くんが私に尋ねる。
「うぅ…ぐすん…」
涙がぐずぐず出てくる。
「泣くなって…。俺が泣かしてるみたいだろーが。それにどうせすぐ仲直りするんだから泣く必要もねーだろ」
北城くんがちょっとあきれた感じで言う。
「今度は…そうじゃない…ような気がする…」
私がそう言うと北城くんがはぁとため息をついた。