第13章 そうじゃない
家に帰ってベッドにゴロンと転がる。
その勢いで枕元に座ってたクマくんのぬいぐるみもゴロンと転がって私の顔に覆いかぶさる。
私はクマくんを抱き上げて胸の上に乗せる。
逢坂くんがくれたぬいぐるみ。
黒い瞳とサラサラの黒い毛並み。
逢坂くんに似てるって私が言ったら彼が買ってくれた。
私はクマくんの瞳をじーっと見てみる。
逢坂くんが私に何か隠し事をしてるとは思えない…。
彼は私だけをずっと好きでいてくれてる。
そう思いたいっていうのはもちろんあるけど…私はその気持ちを確信してる。
クマくんをぎゅっと抱きしめる。
じゃあわたしは?
私もずっと逢坂くんのことが大好き。
ちゃんと彼にもそのことは伝わってるはず。
…もしかして伝わってない?
伝わってても…それだけじゃ足りない?
彼は私をどうしたいのかな。
私にどうして欲しいのかな。
私のどんなところが好きなんだろう。
エッチなとこ?
でもそんなことする前からずっと好きって言ってくれてる。
……。
わからないな…。
だいたい逢坂くんと私は全然違うから。
私はすぐに怒ったり泣いたりするけど、逢坂くんはいつも穏やかで優しくて…。
……そうじゃないのかな。