第7章 異変
ブーッ、ブーッ、ブーッ……
手元で震え続ける携帯。
携帯を握りしめるの掌には嫌な汗がじとりと滲んでいる。
(……どうしよう……)
取らないといけないとわかっていても、身体が硬直して動かない。
ブーッ、ブーッ、ブーッ……
そんなを急かすかのように振動し続ける電子機器。
だが数秒後、この音は直ぐに消えた。
(……電話……切れた……?)
どうやらの応答が無かったために留守番電話に繋がったようだ。
「……ふぅ……」
鳴らなくなった携帯に用はないと、またデスクトップに携帯を戻す。
そして、今度は床ではなくベッドに仰向けになって寝転んだ。
「……なんだったんだろ。」
そうポツリと言葉を漏らした。
その後、少しの間そのままの状態でゴロゴロした後、1階に降りて早めの夕食を食べ、お風呂にも入った。
何かあれば留守電に残すだろうと思っていたが、全てを終え自室に戻ってきた後再び画面を見ても、留守電どころかメール1つでさえも来ていなかった。
「……なんなんだよ。」
取らなかったのは自分だというのに、の心にはずっとモヤモヤとした霧がかかっていた。