第7章 異変
ぐっ、と握り締めた拳がの頭上で小刻みに震えている。
高尾と緑間にプレゼントされたネックレスを握っているその手。
目の前にあるごみ箱めがけ振り下ろすだけなのに、の手は動かなかった。
「っ……なんで……なんで……っ!!」
自分の行動に苦悩する。
「っ……!!」
それでもなお、その手は動こうとしなかった。
「どうしてっ……!?」
の目に涙が滲む。
……だが、にはわかっていた。
何故こんなに胸が苦しいのか。何故腕を振り下ろす事ができないのか。何故
「……うぅっ……」
……こんなにも涙が止まらないのか。
……は信じていた。
高尾と緑間を。
自分を変える手助けをしてくれた二人を。
「……うわぁあああ……っ!!」
……また、独りぼっちになった。
気力を無くしたの腕がだらりと落ちる。
の心の中に広がっていた黒い染み。それはいつの間にか、自身を取り込む程にまで大きくなっていた。
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