第5章 踏み出す勇気
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夕方になり、なんとか体調も持ちなおした。
お礼を言って高尾の家を出ると、見慣れた住宅街が広がっている。
(……本当に話の通りだ。)
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【何故自分はここにいるのか?】
その質問に、高尾はすんなり答えてくれた。
「だってオレ、ちゃんと同じ住宅街に住んでるんだぜ?」
「えっ!?」
「んなびっくりしなくてもwwwだから、ちゃんが急いで帰宅したの知っててよー。窓から見えてよー。んで、ちゃんが学校でぶっ倒れた後に職員会議あったから、その時の資料届けに家行ったら……みてぇな?」
ケラケラ笑いながら何故か楽しそうに話す高尾。
「んでよー。さすがにちゃんの家入るのは気が引けたから俺んち連れて来たって訳!」
またしても得意気にウインクを見せる。
「おっ、そろそろちゃん帰らなきゃじゃね?」
「あ、はい。そう……ですね。」
二人して玄関へ向かう。
靴を履いてるに、後ろから声が掛かる。
「そだ。ちゃん保健室に運んだの、真ちゃんだから、お礼言っとけよ?ww」
「えっ……!」
「校長室ちょうど入ってきたところでよーwスゲェびっくりしてたぜ?www」
心底意外だった。
(あの気難しそうな緑間教頭が……)←
「何気心配してたぜ?」
「……そう……だったんですか……」
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家まで足早に進む。
そんな心中は焦燥感に溢れていた。
人に優しくされても、
その言葉を信じることができない。
その言葉を素直に喜べない。
自分の心の乏しさに
また、の胸が痛んだ。