第5章 踏み出す勇気
が帰宅し、一人になった高尾。
「……」
そんな高尾の頭は今、ある事でいっぱいだった。
「……ちゃん、なんで泣いてたんだろ……」
眠っている時にが泣いていたこと。
その訳をさっきからずっと考えていたのだった。
(……そう考えると、やっぱ赤司って怖ぇよ。)
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昨日の会議の議題
【本当のを引き出すには】
「今日の議題はこれだ。」
その場にいた赤司以外の職員全員が固まった。
「…おい赤司。一体何を……」
「そのままだよ。」
間髪入れずに赤司は答える。
「は本当の自分を見せてはいない。偽りの姿を僕達に見せているだけだ。」
「…なっ……」
緑間は言葉を失った。いや、緑間だけではない。その他の職員も唖然としていた。
「僕達の仲間になる以上、偽りの姿でいられては困る。…それに……」
しかし、赤司はその後を続けようとはしなかった。
「……少し、の様子を見てくるよ。」
まるでこの場から逃げるようにも見える動きで赤司は職員室を出ていった。
……後に残された者達が、この後会議を進める事はなかった。
ただ黙って、各々が赤司の言った言葉を思い返していた。
【は本当の自分を見せていない】
この意味を。
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「ちゃん……」
ポツリと、高尾が呟いた。
……って俺、何思いつめてんだよ!
まるで俺がちゃんの事……
「!?」
だから俺、何考えてんだよ!
その時、涙を流すの映像がフラッシュバックした。
高尾「っ……!」
ちゃんが、もう二度と泣かないでいいようにしてやりたい。
ただ高尾の心に、小さな思いが芽生えた。