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目が届く話【カゲロウプロジェクト】

第1章 【目に付いた話】


楯山文乃、享年16歳。

僕らを孤児院から引き取ってくれた夫婦の一人娘で、異端な僕らをその天真爛漫さで受け入れてくれた人。

心の拠り所だった人の、あまりに早過ぎる死に、僕らの心は不安定に揺れていた。

「…何で死んじゃったんだよ、姉ちゃん…」

もう何度吐いたか分からない言葉が口をつく。
その問いに答えは返って来るはずもなくて、虚しさばかりが募った。

「…ふぅ」

太陽のような笑顔が見たい。
『─大丈夫だよ、修哉!』と、根拠の無い自信で励ましてもらいたい。
あの元気な声で名前一つ読んで貰えたら、僕は──

「………楯山さん」
「うわぁっ!?」

不意に声を掛けられて、僕はそれこそ漫画のようにベンチから転げ落ちそうに──なるのを必死に堪えた。
そのせいで不自然になったのを否めない珍妙な体勢のまま、恐る恐る声のした方に顔を向ける。
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