第4章 【目が潤んだ話】
「う…うぅ…っ」
正直、もう限界だった。
強大な力に家族を人質に取られ、それに独り立ち向かう勇気ももはや無意味な物だと思っていた。
みんな、アイツに殺されるんだ。
どうせ一度は死んだ命、それが無に帰るだけ──
「もぅ…嫌だよ…こんな世界…っ!!」
僕の悲痛な叫びを、神薗さんは黙って聞いていた。
「助けてよ…っ!」
指先が白む程の力で彼女にすがりつく。
本当は分かっていたんだ。神薗さんを巻き込んではいけない、僕が助けを求めれば、この人もアイツの人柱になってしまう。
でも、僕は言葉を止めることが出来なかった。赤ん坊みたいに泣きじゃくって、先の未来が怖くて、今が止まれば良いのにと願うことしか出来ない僕なのだ。