第4章 【目が潤んだ話】
ドライヤーのスイッチを切った神薗さんが、顔を俯かせながら語り出す。
「…クラスメイトの自殺って、やっぱり影響大きいのよ。特に楯山さんは明るくて、そういうこと、するような感じの子じゃなかったから」
僕の脳裏に、【あの日】の姉ちゃんの顔が蘇ってきた。やっぱり恐いと言って、泣いて謝った姉ちゃん。…謝るのは助けられなかった僕だというのに。
「特に私は…楯山さんが何か思い悩んでいるのに気が付いて居たのに、何も行動を起こせなかった」
僕は知っていたけど、何も出来なかった。
「…謝りたかったのよ」
神薗さんが髪を掻き上げながら顔を上げる。
「ずっと後悔してた。…そうしたら、楯山さんの姿のキミと出会って」
そっと手を伸ばして僕の頬に触れてきた彼女の指は、お風呂上がりだというのにひんやりとしていた。
「楯山さんとは殆ど喋った事もないけど、私は──」