第4章 【目が潤んだ話】
「私もお風呂入ってくるから、眠かったら先に寝て」
「どこで?」
「お母さんのベッドが空いてるから使って良いわよ。変な臭いとかは多分しないと思うから」
ドライヤーを投げて寄越しながら、神薗さんはそのまま風呂場へと消えていった。
「………」
図々しく家に上がり込んでいる僕が言うことではないが、人様の親の部屋に勝手に入って更に寝床まで失敬するのは何だか気が引ける。
まぁソファで良いやと、僕はゴロンと寝転んだ。
ぼんやりと天井を見つめる。
今晩神薗さんが振る舞ってくれた手料理は、カレー味のグラタンだった。それが僕の口にとても合って、キドも作ってくれないかなぁとぼんやり思う。
「…って、喧嘩中だった」
一応僕が折れたつもりだが、気まずい状況で飛び出して来てしまった僕は、相当の心配を掛けてしまったに違いない。
改めて謝る必要があるなと、傷つけてしまった二人の顔を思い出して反省した。