第4章 【目が潤んだ話】
(早く…終わらないかな…)
手元にあったクッションを抱き締めながら思う。あ、このクッションからも神薗さんの匂いがする。いい匂い……って真性の変態か。
「ふぅ」
神薗さんが溜め息をついたものだから、慌てふためく僕はさらにキモさを倍増させていた。
「ご、ごめんねっ!?」
「?何が?」
椅子から立ち上がり、案の定怪訝な表情で僕を見下ろす神薗清子。しかし次の瞬間には、僕の濡れた髪をワシャワシャと掻き乱した。
「髪の毛、しっかり乾かさないと駄目でしょ」
何かの拍子に、彼女は僕の頭を撫でてくれる。僕はそれが嬉しくて──
「神薗さんに乾かしてもらいたいなぁ」
「何甘えてんの」
要求をさらにエスカレートさせてしまう。
さすがにそこまでの我が儘を甘んじる彼女ではなかったが。