第7章 誰も知らない
リアはベッドに座って床に足をつける。すると勢いよく立ち上がるが、すぐに倒れた。
どうして立てないのだろう。
リアは動かない自分の足を不思議に思い、少し強めに叩いてみる。
………痛い。
リアは足を引きずって床を履い、窓へと向かった。
その窓はベッドの側にある窓よりも大きく、また方角が違うため景色が違って見える。
それがリアには新鮮で、違う世界に来たようだった。
窓枠にもたれ掛かり窓を開ける。
青の中に浮かぶふわふわした白。
それを横切って飛ぶ何か。
…私は飛べないのだろうか。
リアは疑問に思い、空に手を伸ばす。どれだけ必死に伸ばしても届かないことがもどかしくなり、自然と体も前へと傾く。
飛べた。
その瞬間。夢で聞いた声を思い出した。
ー探しに行こう。必ず迎えに行く。愛してる、リア。ー
ーうん、ずっと待ってるよリヴァイさん。ー
今度ははっきりと顔が見える。
彼の優しい顔。
リアは久しぶりに心から笑っていた。