第1章 足の不自由な2人
翌朝。リヴァイが寝ていると、ノックの音で意識が戻る。
朝っぱらから誰だよ……。
目を擦りながら扉を開けると、エルヴィンが笑っていた。
「てめえが部屋を訪ねてくる時は大概めんどくせぇことを持ち込んでくる時だな。」
「まぁそう言わないでくれ。エマの部屋へ案内しよう。」
エルヴィンにそう言われ、リヴァイは渋々着替え始めた。
まだ完全に明けてはいない暗い廊下をエルヴィンは迷うことなく進む。
片足を引きずりながら追うリヴァイ。
「ちっ。かっこわりぃ。」
「たまにはゆっくり歩けばいいだろう。そうせっかちになるな。」
少し歩くと、エルヴィンは一つの扉の前で立ち止まった。
ここだ。
そう言い、ノックする。
部屋に入ると、ベッドで丸まって寝ているリアを見つけた。
エルヴィンはリヴァイに、
「大きな音はたてないでくれ。それから、私がいいと言うまでは話すな。」
と真剣な顔つきで言う。
リヴァイが面倒そうに頷くと、エルヴィンはベッドの横でしゃがみ、リアの体を優しく揺すり始めた。
「リア。リア、起きてくれ。」
すると長いまつげが伸びる瞼がゆっくりと開きだした。