第1章 足の不自由な2人
「あぁ、医師にも受診したが間違いないそうだ。だから明日にはこの瞬間を覚えていないかもしれない。」
リアを横目で見ると、座ったまま俯いている。リヴァイは溜息をつき、断ろうとした。
「だからなんだ。コイツに同情でもしろってことか。なら俺はごめんd…「同情なんてしないでください!」
リアの悲鳴にも似た言葉に遮られた。
「あたしには…たとえ昨日の記憶が無くなろうとも、思い出が消えようとも今があります。今を生きているんです。」
震えながらズボンを強く握るリアの手に、リヴァイは不思議な感情を感じていた。
2人の様子を見てエルヴィンは
「リヴァイが復帰するまででいい。リア、君にもリヴァイを知って欲しい。君たちは一見反対のようだかよく似ている。」
優しく微笑んでいた。
リヴァイの舌打ちが小さく響いた。