第6章 空虚と決意
少女は目を開ける。
大きな木に背中をあずけて座っている。
1人ではない。誰かと一緒。
あと少しのところで顔が見えず、なんとも言えないじれったさがある。
あぁ、またこの夢だ。
少女は頭では理解していたものの、体は夢独特のあの動かない感覚に襲われていた。
この人は誰だろう。
夢の自分はいつも楽しそうなのに、その人はどこか淋しそうに笑う。
ーねぇ、あなたは誰?ー
少女が尋ねる悲しそうに笑って、
そこから離れて行く。
「お願い待って!どうしていつも悲しそうなの?あなたは誰?顔を見せてよ!」
少女が叫ぶと、彼はゆっくりと振り返り笑った。
ー……こう。……く。…る。…ー
手を伸ばしても届かない。
少女が座る足場は崩れ落ち、暗闇に落ちていった。