第6章 空虚と決意
そうだ。俺はこの笑顔が見たかったんだ。
あの日も。あの日からもずっと。
リヴァイは心から何か湧き上がるものがあり、思いきりリアを抱きしめた。
リアはリヴァイの胸の中で驚いて目をパチパチとさせている。
やっと触れられた。
リヴァイが腕に力を込めた時、
再び扉が開いた。
「何をしている。」
低音の冷たい声が響く。
「エルヴィン。」
リヴァイはすっとリアから手を離すと、扉から入ってきたエルヴィンを見上げ、睨みつけた。
リヴァイの腕から解放されたリアはしばらくキョトンとして座っていたが、再び思い出したのか泣き始めた。
「あ…あぁ、怖いよ。わからない。」
リヴァイがもう一度リアを抱きしめようとリアに近づくと、エルヴィンはすーっと長い腕を伸ばしてリアを抱き上げる。
「どうした?怖いのかい?」
「何もわからないの…。誰も…」
エルヴィンはリアと目を合わせると優しくほほえんだ。
「もう思い出さなくていいよ。君が苦しむならば忘れたままでいい。少し眠ろう。」
唖然として固まっていたリヴァイを横目に、エルヴィンはリアをベッドへ寝かせる。
「おやすみ、リア。」
エルヴィンがそう声をかけると、リアは小さく寝息をたて始めた。