第4章 翼を持たない小鳥はずっと
「フッ…フフフ。」
「何が可笑しい。狂ったか。」
「いえ、失礼。お父様はゴミくずに縁談をお持ちになられるほど落ちぶれていらっしゃるなんて滑稽だと思っただけですわ。」
「ちっ…いきがるなよ。明日仲人をしてくださる調査兵がくる。調査兵とはいえ分隊長らしいからくれぐれも失礼のないようにな。」
扉が閉まったのを見届けると、
リアは息を吐きながら横になった。
家事も出来ない、外に出たことがなくて世間を知らない。
足は動かないし、普段動くことがなく筋肉と呼べるものは欠片もない。そんな女を誰か嫁にしたいと思うのだろうか。
どうせ金持ちの年寄りが暇つぶしに遊びたいだけだろう。お呼びなのは私ではなく私の身体か。
そう思うと急に辛くなってきた。
別にいいじゃないか。
鳥籠と主人が変わるだけだ。
どうせ今までと変わらない。
…お兄ちゃん。私にはやっぱり動ける足なんていらないよ。
鳥籠の中では翼は必要ないんだ。
飛ぶ空すら無いんだよ。