第4章 翼を持たない小鳥はずっと
リアは持っていた喪服を床に投げつける。
涙すら出ない。
どうして自分ばかりこうなんだ。
苦しい…。
黒いドロドロが体中を埋め尽くしていく。
「お兄ちゃん…私はやっぱりダメなんだよ。」
瞳からは光が消え、少女は意識を持つことをやめた。
遠くで人が啜り泣く声が消える。
きっと葬儀が始まったのだろう。
リアは窓を覗き、星を眺めていた。
窓の外でも同じように星を見上げる人間がいた。
「…調査から帰ったばかりのこの忙しい時に呼び出してくれるとはな。」
背が高い金髪の青年は疲れきった肩を回し星を見上げていた。
ふと建物に目をやると、
窓から自分と同じように星を見る少女がいた。
大人びた容姿をしているが、どこか悲しげで全てを諦めた目をしている。
貴族の娘ともなると苦労が多いのだろうか…。
その時はただ気になるだけだったが、この出会いが少女の運命を大きく変えていくことになる。
それからのリアの様子は酷いものだった。毎日ベッドで同じ姿勢のまま動かない。視点が合っておらず、一言も話さない。
使用人達も気味が悪いとあまり部屋に近づきがらなくなっていた。
何も考えず、何もせず。
生きているのかさえ自分でもわからなかった。