第4章 翼を持たない小鳥はずっと
10数年前のウォールシーナ。
リアは父、母、3つ上の兄と4人で暮らしていた。他の貴族に引けを取らないほどの大きな屋敷に何十人もの使用人達。
誰もが憧れ、羨ましがる環境だっただろうが、リアにとっては不自由な鳥籠の中だった。
しかし自分が生まれた頃は普通の商人だったらしい。両親は金に取り憑かれてしまった。
両親は優秀だった兄を溺愛していた。以上なまでに。
兄に比べ容量が悪く、足が不自由だったリアを蔑み、いつも部屋に閉じ込めていた。
どうしてお前はできないんだ。
お前はうちの子じゃない。
恥さらしが。
どうして生まれてきたんだ。
毎日1人部屋で泣いていた。
使用人でさえリアを相手にはしなかった。決まった時間に食事が運ばれ、決まった時間に雇われた教師がやって来て教養から経済までを叩きこまれる。部屋から出て屋敷をうろつくことさえ許されなかった。
しかしリアにも幸せな時間があった。毎晩日付けが変わってから、リアの兄ロイはリアの部屋に忍びこみ、リアが寝るまでリアの話しを聞いていた。
リアはいつも寝るまで頭を撫でてくれる兄が大好きだった。
「リア、必ず兄ちゃんがお前を走れるようにしてやるからな。兄ちゃんは医者になるために勉強をがんばるから。だからリアも頑張るんだ。」
リアは兄の言葉を信じて日常に耐え、何があっても光を失うことは無かった。
あの日までは。