第4章 翼を持たない小鳥はずっと
リヴァイがリアの部屋を訪れなくなって早2カ月。
エルヴィンはリヴァイの頑固さに呆れていたが、リアの急変でそれどころでは無くなっていた。
時計や文字の読み書き、最近では人物の識別まで危うくなっており、日常生活にも影響が出始めていた。
それはリヴァイのことも例外ではなく、リアの中のリヴァイはどんどん薄くなっていく。
それをいいことに、リアの中の僅かに残るリヴァイとの思い出までも自分にすり替えようとしてい自分に腹が立つ。
また、自分もいつリアの中から消えるのかとエルヴィンの中では不安がつもっていた。
「リア、いるかい?」
扉を開け入室するエルヴィンを見るとリアは満面の笑みで応える。
エルヴィンはリアが自分を見て笑みをこぼす度に安堵する。
「はい!」
名前を呼ばれた子犬のように嬉しそうに笑うリアを見ていると、本当はなんともないのではと考えてしまう。
「今日が何の日かわかるかい?」
「いえ…誕生日とかですか?」
リアは思い当たることがなく頭上にハテナが浮かぶ。
「いや。今日は記念日なんだ。」
エルヴィンはベッドに座るリアの横に座ると、リアの手を握る。
「君が兵団に行くと決めて、私について来てくれて今日で10年なんだよ。」
あぁ…そうか。
リアは1番はっきりと覚えている過去を思い起こしていた。