第3章 孤独を埋めるもの
しばらくすると兵士さんが医師を連れて戻ってきた。
これはいつものこと。
でも…。
「おはよう、リア。」
今日はエルヴィン団長もいた。
いつもより多い気がするが問診をしていく。
ただ…今日はちょっと意地悪な質問ばかりなような。
知らない人の写真を見せてきたり、見たこともないものを見せて使い方を聞いてきたり。
もちろん初めて見るのだからわからないのは当たり前なのに、わからないと言うと団長が悲しい顔をする。あぁ、リヴァイさんだけじゃなくて団長まで私が傷つけているのか。
問診が終わり医師達が部屋を出て行くなか、団長はベッドに座る私の横に腰をおろし、私の髪を優しく撫でる。
「団長?」
「なんだい?」
…いつもの団長に戻った?
「私はどこかおかしいのでしょうか。私はみんなを悲しくさせてる。」
エルヴィンは悲しそうに微笑むと、リアを撫でていた手を止めた。
「君は悪くないんだ…。悪いのはこの世界だ。君ばかり苦しい思いをする。」
息のこもった悲しげな声。
「リヴァイさんも…私が怒らせたんですか?また私が調子の良いことばかり忘れたんじゃ…。」
するとエルヴィンはリアを優しく抱きしめた。
「リヴァイは怒ってなんかいないよ。時間が必要なだけさ。」
リアも腕をエルヴィンのたくましい背中にまわす。
「君は君のままでいてくれたらそれでいい。」
たとえ私を忘れてしまっても…。
エルヴィンは存在を確かめるようにリアにまわしていた腕に力を入れた。