第2章 運命は残酷で
「エルヴィン、お嬢ちゃんとこの家庭は複雑なんだろ。報告すんのか?」
エルヴィンも長く息を吐く。
「まぁ一応親だからな。報告はするが…一悶着ありそうだな。」
エルヴィンが複雑な表情で顎をさすっていると、
「ん…。」
「「リア!」」
リアのゆっくりと瞼が開いていく。
たったそれだけのことだが場の空気が軽くなった。
「おはようリア。私が誰かわかるかい?」
エルヴィンは腰を起こすリアに笑顔で手を貸す。
「…おはようございます、エルヴィン団長。」
小さく笑うリアにエルヴィンは心から嬉しそうな笑みをこぼしていた。
医師も安心したように
立ち上がる。
「んじゃあ、さっきより詳しく問診するぞ。」
「…以上だ。」
場の空気が一気に重くなる。
「やはり…リアの症状に間違いは無いようだな。」
リア本人は自分の記憶の異変に気づいておらず、周りの反応に首をかしげる。
「だが…覚えられていてよかったじゃないか。リヴァイ。」
そう。リアはエルヴィンのこともリヴァイのことも忘れてはいなかった。
だがリヴァイから眉間の皺は消えない。