第2章 運命は残酷で
そこは意識がなくなる前とは違い、草や小花が咲き誇っていた。
「すごい…。」
町を一望できる丘の上。
空高く鳥が飛んでいる。
「すごい…すごいですよ!」
「あぁ。そうだな。」
建物は小さく、屋根の赤や川の青、草木の緑が鮮やかな印象の絶景。いつもの町がまるで絵画のようだった。
「リア、こっちだ。」
リヴァイはリアを抱き上げると森の奥へと歩きだす。
森の中は先ほどまでとは違って樹々が生い茂り、視界が悪い。
鳥の声さえ聞こえず葉が風になびく音が鮮明に聞こえる。
壁内の森とは思えないような豊かさだった。
歩き始めてどのくらいたったのか。葉と葉が重なりあう隙間から出口を思わせる一筋の光が見えた。
「ここだ。」
茂みを抜けリアが目を開ける。
そこには何故か草が生い茂っておらず巨大な樹が一本そびえていた。
その樹を囲うように周りに木が立っていて、不思議な神聖さを感じる。その場だけ空気が違うようだ。
「これは…。」
リアは思わず声を出す。
「この樹に神がいるって言うやつらがいるらしくてな。この樹の周辺には人の手は加えられていない。」
「確かにこの樹に神様がいてもおかしくなさそうですね…。」