第1章 妖精の尻尾
グレイは伸びている一人の胸倉をつかむと激しくゆする。
「おい!お前等のアジトはどこだ!誰の命令だ!」
しかし、男は口を割らず手を離せば無様にもどさっと音を立てて落ちる。
やれやれと頭を掻きながらあたりを見つめるグレイは少々困った顔を向けた。
「ダメだ。口だけは堅いみたいだな。」
「だが、こ奴らが町を襲っていたのであればそれはそれで解決であろう。」
「エミアの言う通りだな。しっかし、少々やりすぎじゃねぇか、ヴィナ。」
「いつものことなので。っていうか、グレイに言われたくないよね。」
「うむ。グレイも同じようなものであろうに。」
「服着ないし。」
「無自覚な変態じゃし。」
しゃがみこんでエミアと口元を隠しながら話していると後ろからゆらゆらと殺気が漂うのを感じる。いきなり頭をはたかれ私は涙目になって訴えた。
「いたっ!」
「お二人さん、丸聞こえでございますが…」
「お?!」
「どうしたの、エミア?」
突然声をあげたエミアを凝視する。何か見えたのであろうかと、沈黙が降りる。
「エルザが、帰ってくる。」
「何?!ホントかよ?!」
「まじで?!」
グレイに掴まれ激しく揺さぶられながらエミアははっきりと、そうじゃ。といった。エミアが言うことは大抵当たる。早くギルドに帰えるべく私は立ち上がった。